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長菅 由美子 自分の評価は、相手に託そう やってみることこそが“実績”


長菅 由美子 (ながすが ゆみこ)
住空間設計室CUBE

ライフチャート
●プロフィール
1971年広島県福山市生まれ。自宅の新築を通して、建築やインテリアに興味を持つ。バンド活動に明け暮れた高校時代、アルバイトに力を入れた大学時代を通して、人と接する仕事の楽しさを体感。住宅設備会社に勤めながら、インテリアコーディネーターや二級建築士の資格を取得。製図の専門学校にも通い、メーカーに縛られない提案ができるようにと、独立。福岡へ移住後は、多くの工務店や設計事務所と共同で仕事を展開するかたわら、エンドユーザー向けのインテリア相談や講座の講師業務も行う。二児の母としても多忙だ。
●ヒストリー
 

バンド活動に熱中した10代
目立つことが好きな熱中派

――ご出身は広島県福山市なんですね。

「はい、結婚を機に、福岡に来ました。でも、広島にも取引先が多いので、結構行き来してますね」

――それは、アクティブですね。子どもの頃も、活動的で?

「小学校低学年の頃までは、目立ちたがり屋で。授業中の発表とかでは、よく手を上げていましたしね。でも視力が悪くなって、メガネをかけ始めたことを男子にからかわれたのが嫌で、そこから、あまり目立つことはしなくなりました。性格的には移り気で、いろんなことに興味を持つけど、つまむ程度しかやらなくて。でも習い事はたくさんさせてもらいましたね、そろばんとか、習字とか、エレクトーンとか。あと、編み物とか、何か作ることは好きでしたね」


――中学くらいになると、何か変化が?

「中学入学後、友だちに付き添ってブラスバンド部の見学に行ったら、先生から『入れ!』って言われて(笑)。私が、動きが早い子に見えたらしく、パーカッションのパートになりました。私は、バスケ部とかバレー部に入りたかったんですけど。でも、結局3年続きました。先輩との上下関係も良かったし、先生は厳しかったけど、メリハリがあった感じで、楽しかったですね」

――高校でもブラスバンドを?

「入部は検討したんですよ。でも見学に行ったら先生が優しくて、なんか練習がダラダラしてる感じで、物足りなかった。大会に出場するとかの目標もなくて。それで、何かしたいなー、と思っていたら、友だちのバンドにメンバーの空きがあって、ドラムをやることに。これがはまりまして、夜遅くまで練習して、チケット売って、ライブハウスで演奏。お金もかかるから、パチンコ屋さんのところにある定食屋さんで土日の昼間にバイトして。夜、男の子の友だちが家まで送ってくれたことがあったんですが、その子がパンクやってる子で、頭は鶏のトサカみたいにしてて(笑)。その頭で親に会ったから、『バンドをやめろ、やめないなら出ていけ!』と言われました。私自身も、バンド活動中はかっこつけて、髪にメッシュとか入れてたんですが、帰りに先輩の家によって、メッシュ落としてから、家に帰ってました(笑)」

 

バブルが消え、就職難に直面
でも、インテリアへの熱は冷めず

――大学は安田女子大学に進学されて、日本文学を学ばれたそうですね。

「10歳の頃、両親が家を新築。その時、壁紙とかカーテンとか、インテリアコーディネーターさんがいろいろ提案してくれるのを見て、家の仕事に興味を持ったんですが、広島に、インテリアを学べる学校がなくて。それで、得意な国語を活かして進学して、4年後、住宅方面に就職できたらと考えたんです。大学時代は眼鏡屋さんでバイト。朝から夕方まで、正社員並みに働きました。でも、卒業する時には、バブルが消えてたんですよ。住宅メーカーはどこも『新卒はとりません』という状態でしたから、焦りと、取り残された感がすごかったですね」

――氷河期でしたからね。

「もう、就職できない卒業生だらけで。でも、少しでもインテリアに近いところで仕事がしたくて、生活雑貨の店でアルバイト。仕入れやディスプレイ、店づくりなどを学びました。また、図面が読めるようになりたくて、夜間、製図の講座へ。知識がないから、講師を毎回質問攻めにしていたら、熱心だからと就職先を紹介してくれたんです。未経験でも可というショールームで、接客対応の仕事をすることになりました。ずっと入りたかった住宅業界にやっと入れたので、とてもうれしかったですね」

――学びたい気持ちが伝わったんですね。

「ショールームでの業務は私に合っていたようで、お客さんと話しができるのも楽しかったし、製図の知識も活かせたし、本当に充実していました。でも、製図の講座に行っていても、実際の業務に行かせるほどの知識はほとんどついていなかったので、設計事務所とのやりとりができなくて。それが悔しくかったし、自分も積極的にお客様に提案したいと思い、資格を取ることを決めました。インテリアコーディネーターは独学で取れたのですが、二級建築士はさすがに無理だったので、社内講座を受けたり専門学校の二次試験対策コースに通いました。勉強期間中は残業お断りで(笑)。ただ、毎日、製図を一枚描くという課題が大変でしたね」

――知識がプラスされると、仕事のやり方も変わりますよね。

「はい、実物の家と設計図が繋がるようになってきて、現場にも連れて行ってもらえるようになったんですよ。その後、30歳を前に建築士の資格を取得。業者さんや工務店さんとのつながりも広くなったんですが、メーカーに縛られない仕事がしたいなと。お客様のご要望やご予算などを考えながら、たくさんのメーカーからいいものを提案したい。そう思うようになった時に、『一緒に仕事したいね』『独立しても、やっていけるんじゃない?』と声をかけられるようになって、そんな道もあるんだと気づいてしまった私は、上司に相談。5年目でショールームの責任者になっていたので、『必ず部下を育てますから!』と半年かけて説得して、無事に退職したあと、独立を果たしました」

 

「仕事の話は断らない」がポリシー
提案力で住まいの楽しさを伝える

――独立後は、順調だったんですか?

「一人親方状態ですからね。組合に登録して、いろんな工務店さんたちと一緒に仕事をする毎日。でも、仕事がある時とない時の差が激しくて。取引先を見つけるのも大変で、飛び込み営業に回っても金額を叩かれるし、セクハラにも注意しなきゃいけないし。建築業界で女性がひとりで仕事するのはかなり大変でしたが、やりがいはありましたから、やめようと思ったことはなかったです。その後、35歳で結婚。夫が福岡出身だったので、転勤で九州へお引越ししました」

――お仕事はされなかったんですか?。

「その時は、少し休憩したいなーと思って、しばらくは専業主婦。38歳で出産して、42歳で仕事に復帰するまでの間は、仕事してませんでした。正直、家庭を優先する毎日を送っていたので、昔からの私の価値観が変化するかもしれないとも思いましたし、建築の仕事を、子育てしながらできるのか、という不安もあって。でも、子どもが2歳になった頃、そろそろ仕事したいなと思い、女性の起業講座に通いました。福岡では営業基盤がありませんでしたので、本当にイチからやり直すつもりで、『やるんなら、ちゃんと』と思って、4日間集中して勉強しました」

――そこから、現在の活動につながるんですね。

「女性の起業講座で知り合った仲間5人と、月1回近況報告や情報交換を行い、刺激を受けました。この活動がどんどん本格化して、現在の女性起業家スプラウトがあります。女性の起業支援というスプラウトの活動は、一見本業とはリンクしていないように見えますが、私の中では仕事に対するあり方や人脈の築き方などを生かし合えている関係で、とても大切な活動です。『仕事はこうやる!』みたいなものって、条件もできることも違うから、一つにならない。でも、私は自分でやってみて、やりながら変えていくタイプなので、意外に『やってみたら、できた』ということも多いんです。だから、軸さえブレなければ、仕事にはこだわらない。期待されているからこそ、打診されているのだからと、言われたことは、全部やりたいし、お話をいただいたら、断らない。『そんなことも、できるんだ!』と驚いていただきたい、そう思っています」

――家庭や子育てとの両立は、大変だとも思いますが…

「大変ですよ。小学校2年生の双子なので(笑)。学校の行事も多いですしね。だから、帰りが遅くなる時などは、ファミリーサポートを活用したり、友人にヘルプしてもらったりしています。仕事をする時間帯もあえてフレキシブルにしています。取引先は私の事情を知ってくれているし、県外の仕事もあるので、メールやスカイプでのやり取りで打ち合わせすることも多いです。
3年前くらいから、おかげさまで仕事が増えてきましたが、やはり、自分ができると思っているところと、相手ができるだろうと思っているところは、違うなって思います。自分の認識って、ホントに一部分だなと。大切なのは、自分の評価を人様にまかせること。業者さんも管理職の人が多くなっているので、お互いにいい状態で、効率的に仕事ができるよう、提案しています。

――これからの目標は?

「お客様は、インテリアの相談などをお店にすると、買わなきゃいけないんじゃないかって相談すること自体を躊躇します。小さなことでも、気軽に相談できる場所があれば、このメーカーのこういう商品がいいですよ、とか、ご予算に合うのはこちらですよ、とかご紹介ができます。福岡には、一般のお客様にあまり知られていない面白い商材を扱うショールームが多いので、そんなインテリア相談を数人のコーディネーター仲間とチームを組んで、ショールームで開催する計画を立てています。またリノベーションや入居者自身がカスタマイズする物件の構想を、賃貸物件のオーナーさんと進めている案件もあります。もっとたくさんの方に、インテリアを気軽に、そして日常的に楽しんでいただける場を増やしていけたらうれしいですね」

 

 

氏名 長菅 由美子(ながすが ゆみこ)
会社名・団体名 住空間設計室CUBE
所在地

〒810-0001 福岡市中央区天神4-1-28 3F-B
         TEL090-7539-2401 

関連ホームページ http://cube-restyle.com/
 
 
 
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 インタビューを終えて
「長菅 由美子」考

 

エッジコンサル 渡辺 俊洋

 双子のお子さんの母。それだけで、大変さが想像できるのに、広島でも仕事を受注しているとは、なかなかのバイタリティだ。しかし、おとなしめ・控えめな女性という第一印象。そのギャップも、長菅さんの魅力のひとつなのだろう。髪にメッシュを入れ、バンドでドラマーとして活躍していたとか、親から「出ていけ!」と怒鳴られたこととか。武勇伝はまだまだありそうだが、そのひたむきさや情熱があるからこそ、男性社会とも言われる建築の業界で、男性と肩を並べることができていたのではないだろうか。   
そんな長菅さんが自己分析すると、「融通が利かない性格」なんだとか。取引先とでも、「こうしたい」と思うと押し通すところがあり、「強引だなー」と笑われることも多い。しかしそれは、ただのわがままではない。相手にプラスになり、自分もやりやすい、そんなベターな方法を見つけることによって、仕事をスムースに効率的に行うことを目指しているからだ。その一つが、スカイプの活用。これからも、よりよい働き方を見つけ、変化していくことが、長菅さんの強みだと言えそうだ。
仕事も子育ても全力を出しながら、でも自分が抱え込むのではなく、周りを巻き込みながら、さらに前進。これから、どんな渦で、どんな人や仕事を巻き込んでいくのか、楽しみだ。

 
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