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清水 洋一 一人ひとりに、徹底しておつきあい 寄り添い型の情報活用“参謀”


清水 洋一 (しみず よういち)
有限会社ビズキューブ

ライフチャート
●プロフィール
1969年鹿児島市生まれ。鹿児島県立甲南高校、鹿児島大学教育学部卒業。ソフトウエア販売商社入社。海外商品の国内販売の企画から新事業の立ち上げなどを経験しながら、企業におけるシステム構築を支援。営業も経験し、顧客のニーズを聞き出す術を学ぶ。その後、数社でさまざまな経験を積み、「今もっともICTが必要なのは中小零細企業や今から立ち上がる会社ではないか」という思いから独立、2005年、有限会社ビズキューブ設立。IT導入・活用支援から経営戦略策定、セミナー講師など幅広く活動。
●ヒストリー
 

教師を目指して教育学部に進むも
教員免許を取らず民間企業へ

――鹿児島のご出身、薩摩隼人ですね。どのような少年でしたか?

「まだ幼稚園に入る前くらいの頃から、あちこちブラブラ歩き回っては親が探し回っていたようです。子どもの足で1時間以上かかるようなところで発見されたり。怖い物知らずだったんでしょうね」

――幼い頃からの放浪癖(笑)その後も続いたのですか。

「小学校に入ったら少しは落ち着き、中学はごく普通。勉強はあまり好きじゃないけれど成績が上がるのは楽しいし、負けず嫌いだからそれなりに頑張って、学校から言われる通り甲南高校に進みました」


――進学高校ですね。勉強だけでなく数十キロの遠行などの厳しさもよく聞きます。

「よくご存じですね。ボクらの時は薩摩半島縦走でした。早朝のバスで枕崎まで行き、知覧の武家屋敷などを経て平川動物園まで40キロ以上の行軍。朝の7時前にスタートして夕方まで10時間、歩き通しです。キツイだけで、あまりいい思い出、ないですね」

――文武両道というのか、補習もハードですよね。

「授業はゼロ時限から9時限、午前8時から午後6時まで。どっさり出る宿題は終わらないことも多く、学校に行って、できる同級生からノートを借りて写す毎日。サラリーマンと一緒で、休みはお盆の数日のみ。夏休みも冬休みもほとんどありません。だから『腹痛』を起こして午後から休んで、自転車で海水浴場に行ったり。勝手に夏の思い出作りしてました(笑)」


――硬派の学校で、うまく息抜きをされてきたようですね。進路を決めたのは?

「国公立至上主義で、私立は基本的に受けさせない学校だったんです。でも、そういう高校として特集番組が作られたくらいです」

――それで、地元の国立大学・鹿児島大学に進学。

「教師になるのも面白そうだな、と教育学部を選んだのですが、3年の時に先輩の教育実習を見学して『なんか違うな』と思い始め、4年の春に『教育実習を受けず一般企業に就職します』と宣言。前代未聞の事態に、教授全員から呼ばれて連日の説得が続きました」

「コンピューターの時代」を確信
役員に惚れ込んだ企業に就職

――教員養成課程を出て、一般企業に就職する人はいますよね。

「ええ。当時は、公務員になることがもっとも安定した生活を築けるというのが常識でしたから、まず教職に進まないだけで異例ながらも、民間企業に就職した人はいないわけではありません。それでも一応、保険のように資格だけはとるのが普通。少なくとも鹿児島大学で、教員養成課程に行きながら教員免許を取得せずに卒業した学生というのは、私を含め、数えるほどしかいないのではないかと思います。みな『教育実習を受けて、資格だけは取ればいいじゃないか。せっかくこれまで単位を取得してきたのにもったいない』と。親なんて今でもいいますよ。『免許くらい取っておけばよかったのに』と」

――確かにもったいないような……。

「どうせ教師にならないなら免許もっていても意味ないし、逆に時間がもったいないと思ったんです」

――何が「違う」と思ったんですか。

「アルバイトで経験した塾の教育との違いです。遠隔地の子どもたちへの電話とFAXによる指導ですが、今で言う個別学習塾の走り。『1対1』できちんと向き合い、悩みも聞き、一人ひとりそれぞれに適した学習指導をしていたんです。だけど学校の授業は『1対多』。クラスの『中の上』か『中の下』をターゲットにするしかないでしょう。教育って違う、そんなもんじゃないと思い始めるともうダメで」

――それなら「学習塾で理想の教育を」とは思わなかったんですか。

「理想を追求すると採算があわない。大学3年のときに経営者が撤退したため『今の生徒の高校受験までは継続させて欲しい』と申し出て運営を引き継がせてもらったんです。一年半くらい続けましたが、同級生や後輩を講師に雇って給料払うと、自分の取り分はほとんどナシ。ウエイターや家庭教師など、ほかのバイトで稼いだお金で何とか給料を払い続けていたくらいです」
 

――一般企業の中で、コンピューター業界を選ばれたのはなぜですか。

「これからはコンピューターの時代だ、と直感で。まだ『ウインドウズ3.1』さえ出ていない頃、高校の合格祝いにパソコンを買ってもらって、一応、コンピューターには親しんでいましたし。と言っても、ゲームやっていたくらいですから、何を基準に見ていけばよいのかさえわかりません。そんななか、社長が外国人で、海外向けソフトウェアを国内で販売する会社に目が止まり、福岡での説明会に参加。そこで担当役員に惚れ込み、結果的に就職活動1社目で決定。東京での会社員生活が始まりました」

 

副作用やリバウンドがない
漢方薬型のコンサルタント

――福岡で起業するまで、いろいろな経験をされたのでしょうね。

「最初の会社でほぼ10年。商品サポートにSE、コンサルティング、営業などさまざまな職種に新事業の立ち上げも経験しました。その後、入社のきっかけとなった役員が興した会社に、半ば押しかける格好で転職し、ベンチャー企業のアーリーステージで生じるさまざまな出来事を体験。さらに、別の先輩が立ち上げたシステム開発会社で、営業、コンサルティングにプロジェクトリーダーまで、一通りのことをやらせていただき『そろそろ九州に帰って、やれるのでは』と決断したわけです」

――東京から福岡へ、温度差はありませんでしたか。

「ITの世界、地方はまだまだ難しいと覚悟はしていました。それで、生まれ育った鹿児島ではなく、何のつてもない福岡を選んだわけですし。ですが、想像していた以上に、九州のニーズは少なかった。というのも、IT導入以前に組織づくり・仕組みづくり自体がまだでき上っていない企業が多かったから。そのため、ITの前に、経営者のモヤモヤした気持ちを解決するためのサポートをすることから入り、徐々に経営改善、組織改善などの支援をするようになった。『中小零細企業こそITが必要』ということを伝えるのには、相当な時間がかかりましたね」

――苦労されましたね。

「中堅以上の企業のシステム開発や東京で長くつきあった取引先からの依頼などで、生活に困ることはないけれど、本来、目指した方向にはなかなか進みませんでしたね。人脈作りのために交流会にこまめに顔を出して、その芽が出始めてきたのは3年目くらいから。『こんなことできる人、探してるんだけど』といった声がかかるようになってきました」

――名刺に「情報活用戦略参謀」とあるのが気になります。

「それが狙い。情報活用コンサルタントだったら普通に流すところ、『参謀』とあると『これ何だ?』と、ちょっと引っかかって気になるでしょう。話の糸口にもなりますし。
 コンサルタントって、軍師・参謀だと思うんです。特に、自分は顧客に寄り添う伴走型のコンサルタントですから。急激に変える劇薬タイプではなく、ゆっくりじわじわと効いていく漢方薬タイプ。急激に変えたい人は劇薬がいいでしょう。ただし副作用もリバウンドもあります。急激な変化は苦手な会社、副作用やリバウンドがない方がいいという人向きのコンサルタントだと思っています」

 

氏名 清水 洋一(しみず よういち)
会社名・団体名 有限会社ビズキューブ
所在地

〒812-0013 福岡市博多区博多駅東3-9-7-203
TEL092-473-9600 FAX050-3737-0711

関連ホームページ http://www.biz-cube.com
 
 
 
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 インタビューを終えて
「清水 洋一」考

 

住空間設計室 CUBE 長菅 由美子

「第一印象はマジメそうなヤツ。2回目の印象はまるで別人、全然マジメじゃない」と、よく言われるそうだ。もちろん「マジメじゃない」とはいい意味でのこと。逆に「マジメ」で、やや距離感をもたれがちな第一印象は、自分を売り込むコンサルタントとしては損しているようにも思える。
 一方で、「私だったらこうします」と、会話の中で思いついたことを話して、「契約もしてないのにそんなことしゃべっては、商売にならないんじゃないのか」と言われることも多いという。しかし、彼にとって、それは単なる思いつき、アイデアレベル。すべて話しているわけではない。逆に、アイデアの一端さえも話さず「わかりました、持ち帰ります」では、自分を判断してもらう材料を相手に何も与えないことになる。それが清水さんの手法だ。第一印象とその後が違うのも、最初からくだけて相手に迎合するのではなく、その人の個性、何を求めているのか、何が課題でどのようなアプローチがよいのかなどを慎重に見極めたうえで、相手の懐に飛び込んでいくからなのだろう。
 「劇薬ではなく漢方薬タイプ」のコンサルタント=参謀を自認する。漢方薬の神髄は、個人の症状に合わせた処方で、人間が本来持つ自然治癒力を高めることによって、対処療法ではなく、病を根本から治癒することにある。そういえば、教員養成課程の大学を卒業しながら教師にはならず、安定した公務員の道を捨て、教員免状さえ取得しなかった(意外に頑固だ)理由も、「今の学校教育現場では、一人ひとりの個性を見極め、それぞれに適した学習指導ができない」と思ったからだ。筋は通っている。
 名刺の裏には「経営者のモヤモヤをスッキリするお手伝い」とある。自信にあふれて突き進んでいるように見えても、多くの経営者は大きな不安やモヤモヤを抱えているもの。清水さんには派手さはないものの(失礼!)決して裏切らない信頼できる参謀として、これからも大いに活躍していただきたい。

 
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